いらすとやさんが覇権を握った理由【デザイナー目線で解説】
初めまして!
Bumfaceと申します。
私はグラフィックデザイナーとして仕事をし、
現在は専門学校講師やフリーランスとして簡単なデザインをしています。
今回のブログでは“いらすとや”がいかにして覇権をとったのかをデザイナー目線で解説します。
そこに加えて、デザイナーとイラストの関係性や、イラストの相場的なお話も盛り込んでいきます。
この記事を読んで欲しい人
- 駆け出し(1〜3年)のデザイナー
- デザインを発注したいと思っている担当者
- イラストレーターに憧れる学生
“いらすとや”について
知らない人はいないと思いますが、先にいらすとやさんの紹介をしておきます。
いらすとやは、イラストレーター・みふねたかしが運営する、無料イラストを提供するウェブサイトである。
イラストは個人、法人、商用、非商用を問わず無償で使用できるが、著作権は放棄しておらず、使用方法には制限があるので注意が必要である
著作権フリーで商用OKといえども、
一つの作品に20点まで使用可能それ以上の場合は要相談といったような
ルールを設けています。
“いらすとや”以前のフリーイラストについて
時代背景的な話ですが、
いらすとやさんが誕生したのが、
おそらく2012年ごろです
その頃は、世間的に今のようにネットで拾える著作権フリーイラストというものが浸透していなかったんですね。
あったとしてもこういうような
どことなく古めかしい感じのイラストでした。
プリントアートファクトリー
デザイナーも著作権フリーの素材っていうのは
フリー素材集というものを買ってそこから画像なり、イラストなり使用していました。
このフリー素材集のイラストもぶっちゃけ古い感じでした。
イメージとしては昔の家電の説明書とか、学校が発刊している学校通信に乗っているようなイラストですね。
ですので、イラストを追加したい時は
クライアントに「イラストレーターに発注するのでいくらか上乗せできますか?」と交渉したり、
グラフィックデザイナーが下手なりに描いたり
なんとかやっていた時代なんですね。
そんな中に登場したのがこのいらすとやさんです。
ここからいらすとやさんがいかににして覇権を握ったのかということを解説したいのですが、
その理由は大きく分けて3つあります。
1.商用利用が無料
まず一つ目が「商用利用無料」だということです。
当たり前だと思われがちですが、当時のフリー素材は商用利用はできないことが多かったんです。
じゃあどうしていたかと言うと、
クライアントに上乗せの交渉をして、イラストを別途制作していました。
ただし、先ほど話したとおり、クライアントは上乗せを嫌います。
1カットのイラストの相場が安くて5000円〜○万円
大体のクライアントが想定しているより高いんですね。
そんな中で、商用も加工もOKというのは革新的でした。
特にお金のない自治体とかはめちゃくちゃ重宝しました。
2.万人受けするクセのないデザイン
いらすとやさんの最大の特徴は
老若男女誰でも受け入れられるデザインだと言うことです。
色合いとか、いい意味でのラフさ加減などが当時の世間にぴったりフィットしました。
でもよく見ると線にIllustratorでいうラフがかっていたり、
髪色でもよく見たらストライプがかかっていたり、
ラフだけど手抜き感のないクセのないデザインになっています。
3.圧倒的な対応力
今回のワンピースコラボでもそうなんですが、
誰が使うねん!
みたいなイラストがたくさんあります。
ウニキャベツ ユニコーン企業
いらすとやさんには検索機能があって、
検索すれば欲しいイラストがほぼほぼ引っかかります。
もしくは、ちょっと加工するだけで対応できるレベルのものが揃っています。
昔ならリクエストすると1週間以内ぐらいでイラストを上げてくれていたようです。
※今は行っていない。
通常イラストレーターに依頼すると早くて1週間ぐらい
下手したら2〜3週間かかります。
じゃあコストがかからず、早いと言うことで
必然的にいらすとやが使われますよね!
この3つ以外にももっともっと凄いところはあります。
ただ、上で紹介しただけポイントだけでも
覇権を取るのが必然だと感じます。
現在はご存知のとおり、このイラスト自体がブランド化され、
LINEスタンプやグッズがバカ売れしています!
やはり、圧倒的なスピード感や手軽さが世の中に受けた証拠なのではないでしょうか。
デザイナーといらすとやの関係
じゃあデザイナーがみないらすとやを使っているかと言われると・・・
それは違うと思います。
正確に言うと“当時は使っていた”今は使わないと言うところですかね。
圧倒的に人気が出過ぎてしまったためです。
誰もがみた瞬間分かるので、
いらすとやのイラストを使うと
こいつイラストの手間惜しんだな・・・
楽してんな・・・
と思われるようになりました。
予算がないからいらすとや使ったのに・・・
そう思われるってかなり腹が立ちますよね。
ですので、よっぽどこだわりなくて、
スピード重視の案件以外は使うことがないと思います。
どんなイラストを使うのか?
どうしようもなければ
イラストACさんのようなフリーイラスト投稿サイトを使っています。
様々なクリエイターさんがいるので、他社との違いを簡単に生み出せます。
私自身イラストACさんは重宝しすぎてコンビニとか街中のポスター見たら
ああこの人のかってわかるようになりました・・・
最後に
最後にいらすとやを使用する注意点として、
全ての利用が大丈夫という訳ではありません。
例えば、“1つの作品に20点以上使用してはいけない”や
それだけで料金を得る仕組みはダメ(LINEスタンプ作る)とか
完全にOKではないので注意してください。
また、いらすとやがタダだからイラストはタダで描けるでしょ
とうようにイラストの価値を低く見る考え方はやめてください。
いらすとやさんもグーグルアドセンスやスタンプグッズ収入で
鬼のように稼いでいます。
イラストレーターさんも稼げる人と
そうではない人の格差が大きい職種です。
少しでもイラストレーターさんがイラストを描きやすくなるために、
是非それ相応の対価を支払うこと考えてください。
また、プロのイラストレーターはいらすとやと違い、
細かな要望や修正に対応してくれるはずです。